アネット・ベニング ジェイミー・ベル
ジュリー・ウォルターズ ヴァネッサ・レッドグレイヴ
監督：ポール・マクギガン（『ホワイト・ライズ』） 脚本：マット・グリーンハルシュ（『コントロール』『ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ』）
原作：ピーター・ターナー「Film Stars Don’t Die in Liverpool」 エンディングソング：エルヴィス・コステロ「You Shouldn’t Look At Me That Way」2017年／アメリカ／英語／カラー／シネマスコープ／5.1ch／105分／字幕翻訳：栗原とみ子
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配給：キノフィルムズ／木下グループ
ピーター・ターナーが1987年に発表した同名の回顧録を映画化。『悪人と美女』(1952)でオスカー助演女優賞に輝いた往年の大女優グロリア・グレアム(1923－1981)。1950年代ハリウッドで活躍し、4度の結婚歴を持つ自由奔放な女優。最後まで女性として、女優として生き抜いたグロリアと駆け出しの若手舞台俳優ピーターの最後の恋を、リヴァプールを舞台に描いた感動のラブストーリー。
グロリア役に4度アカデミー賞にノミネート経験を持ち、20年ものあいだ、この役を待ち続けた実力派のアネット・ベニング。ピーター役には『リトル・ダンサー』『スノーピアサー』のジェイミー・ベル。歳の差もキャリアの差も超えて惹かれあうふたりのロマンスを見事に体現し見るものを魅了する。ピーターの母親役にジェイミーと『リトル・ダンサー』で共演経験をもつジュリー・ウォルターズ、さらにグロリアの母親役に伝説の女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ。エンディングソングはエルヴィス・コステロ。本作をイメージして作られた楽曲が高揚感を高めている。
アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身。女優だった母親の影響で舞台などで活動後、『素晴らしき哉、人生！』(46)で映画デビュー。その後『十字砲火』(47)でアカデミー賞助演女優賞にノミネート、『悪人と美女』(52)で助演女優賞を受賞。主な出演作に、ハンフリー・ボガートと共演し当時の夫ニコラス・レイが監督を務めた『孤独な場所で』（50）、『復讐は俺に任せろ』（53）といったフィルムノワール作品のほか、『突然の恐怖』（52）、『地上最大のショウ』（52）、『Naked Alibi』（54）、『オクラホマ！』（55）など。プライベートでは4度の結婚歴がある。2番目の夫は映画監督のニコラス・レイ。そして4番目の夫は、ニコラス・レイの息子であるアンソニー・レイ（義理の息子）で、当時は大きな物議をかもした。ニコラスとの間に1人、アンソニーとの間に2人の子供を産み、3番目の夫の間にも子供が１人いる。1981年に乳がんのためニューヨークにて57才で逝去。
1981年9月29日、ピーター・ターナーの元に衝撃の知らせが飛び込んできた。かつての恋人グロリア・グレアムがイギリスのランカスターのホテルで倒れたのだという。
「リヴァプールに行きたい」そう懇願するグロリアに対してピーターはリヴァプールにある自分の実家でグロリアを療養させることにした。ピーターの家族やリヴァプールを懐かしむグロリアだったが、全く病状を明かそうとしない。心配になったピーターは、アメリカの主治医に連絡をとり病状を確かめた。そして、グロリアの死が近いことを悟ったピーターは、不意に彼女と楽しく過ごしていた頃を思い出すのだった。最後までグロリアがリヴァプールに拘り続けた理由とは——
1959年、アメリカ生まれ。米アカデミー賞に４回ノミネートされ、ゴールデングローブ賞を２度受賞、全米映画俳優組合（SAG）賞も２度受賞している。サンフランシスコ州立大学を卒業後、サンフランシスコにあるアメリカン・コンサーバトリー劇場に入り、そこで演技を学ぶ。主な出演作に、『大混乱』（88）、『恋の掟』（89）、『ハリウッドにくちづけ』（90）、『グリフターズ／詐欺師たち』（90／※アカデミー賞助演女優賞にノミネート）、『真実の瞬間（とき）』『心の旅』（共に91）、『バグジー』（91／※ゴールデングローブ賞にノミネート）、『めぐり逢い』（94）、『リチャード三世』（95）、『アメリカン・プレジデント』（95／ゴールデングローブ賞にノミネート）、『マーズ・アタック！』（96）、『マーシャル・ロー』（98）、『アメリカン・ビューティー』（99）の演技では、SAG賞を２部門、英アカデミー（BAFTA）賞最優秀主演女優賞を受賞、米アカデミー賞／ゴールデングローブ賞の同部門賞にもノミネートされた。『華麗なる恋の舞台で』（04）、『ミセス・ハリスの犯罪』（05／ゴールデングローブ賞とSAG賞にノミネート）、『愛する人』（09）、『ルビー・スパークス』『ジンジャーの朝 ～さよなら、私が愛した世界』『Girl Most Likely』（いずれも12）、『フェイス・オブ・ラブ』（13）、『あの日の声を探して』（14）、『Dearダニー 君へのうた』（15）などがある。近作には、『２０センチュリー・ウーマン』（16）、アントン・チェーホフの戯曲をマイケル・マイヤーズが映画化した『The Seagull』（18）などがある。
1986年、イギリス生まれ。十代の時に、『リトル・ダンサー』（00）で主人公ビリーを演じ、世界的に有名になった。この演技で、英アカデミー（BAFTA）賞最優秀男優賞、英インディペンデント映画賞最優秀新人賞を受賞するなど、多くの賞に輝いた。主な出演作に、『DEAR WENDY ディア・ウエンディ』（05）、大作『キング・コング』（05）、実在の第二次世界大戦の英雄ラルフ・イグナトウスキーを演じた『父親たちの星条旗』（06）、『ジャンパー』（08）、『ディファイアンス』（08）3Dモーション・キャプチャーを駆使して描かれたアニメ『タンタンの冒険／ユニコーン号の秘密』（11）では、エルジェ原作の伝説の冒険家タンタンの声を演じた。次に、『崖っぷちの男』（11）、『フィルス』（13）、『スノーピアサー』（13）、『ファンタスティック・フォー』（15）、『6日間』（17・未）などに出演している。TVでは、初めてアメリカのTVに出演し、AMCシリーズ「Turn」（14～17）で主人公エイブ・ウッドフルを演じた。
1950年、イギリス生まれ。30年以上にわたりイギリス映画を中心に数多くの作品に出演。
大英帝国勲章コマンダーの称号をもつ英国人女優。83年『リタと大学教授』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、英アカデミー（BAFTA）賞とゴールデングローブ賞ミュージカル／コメディ映画部門最優秀女優賞を受賞。『リトル・ダンサー』（00）で再びアカデミー賞助演女優賞にノミネート、英アカデミー（BAFTA）賞助演女優賞を受賞している。また、『ハリー・ポッター』シリーズの７作品（01, 02, 04, 07, 08, 10, 11）でモリー・ウィーズリー夫人を、『パディントン1・2』（14・17）ではバードさん役を演じている。主な出演作は『カレンダー・ガールズ』(03)、『マンマ・ミーア！』（08）、『メリダとおそろしの森』（12）、『ワンチャンス』（13）、『マンマ・ミーア！ヒア・ウィー・ゴー』（18）などがある。
1937年、イギリス生まれ。父はマイケル・レッドグレイヴ、母はレイチェル・ケンプソンという俳優一家で育つ。1958年映画デビュー。その後、『モーガン』（66・未）、『裸足のイサドラ』（68）でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞。米アカデミー賞に6度ノミネートされ、77年には『ジュリア』でアカデミー賞®助演女優賞を受賞した。また、エミー賞／英アカデミー（BAFTA）賞／カンヌ映画祭／ゴールデングローブ賞／全米映画俳優（SAG）賞も受賞している。2003年にはアメリカン・シアターに殿堂入りし、2010年にはBAFTA賞友愛賞を授与された。1967年に大英帝国勲章コマンダーを受章、多くの映画、舞台で活躍している。主な代表作は、『キャメロット』（67）、『ハワーズ・エンド』（92）、『ダロウェイ夫人』（97）、『ヴィーナス』（06）、『つぐない』『いつか眠りにつく前に』（共に07）、『トゥルース 闇の告発』（10・未）、『英雄の証明』（11／レイフ・ファインズ監督）『ダロウェイ夫人』（97）や『ジュリエットからの手紙』（10）『ローズの秘密の頁』（17）などがある。
1963年、スコットランド生まれ。犯罪物やドラマの語り口に特に強烈な才能を発揮してきた。スチールカメラマンとして仕事をスタートさせたのち、ドキュメンタリー畑に進み、チャンネル4とBBC放送のノンフィクション番組の監督を務めるようになる。アーヴィン・ウェルシュの短編物語の一つを映画化した短編『The Granton Star Cause』（97）でフィクション作品の監督を務めた。この作品が高く評価され、同じくウェルシュの作品から2つのエピソードを取り上げ、それを掛け合わせて作ったオムニバス映画『アシッド・ハウス』（98）が再び好評を博し、長編映画にフルタイムで取り組むようになった。初期のフィクション作品には、独創的な犯罪物語『ギャングスター・ナンバー1』（00）や『ラッキーナンバー7』（06）などがある。続いて、中世を舞台にした『仮面の真実』（03・未）、不気味な雰囲気のロマンチックミステリー『ホワイト・ライズ』（04）を監督した。近作には、『ヴィクター・フランケンシュタイン』（15・未／出演：ジェームズ・マカヴォイ、ダニエル・ラドクリフ）などがある。最近は、数多くのTV番組の監督として大きな成功を収めている。その作品には、高評価を得て英アカデミー（BAFTA）賞とエミー賞の最優秀監督賞にノミネートされた「SHERLOCK（シャーロック）」シリーズ（10, 12）などがある。
1952年、イギリス・リヴァプール生まれ。1968年、ナショナル・ユース・シアターのメンバーになるためのオーディションを受け、そこで有名なキャスティング・ディレクターのミリアム・ブリックマンの目に留まり、同じくリヴァプール出身のリンゴ・スターが主演する『マイウェイ・マイラブ』（74）に初出演する。ほかの出演作品に、『テンペスト』（79）、『ファイナル・オプション』（82・未）などがある。舞台作品では、「Tamburlaine the Great」、グラスゴー・シチズンズ・シアター作品「The Government Inspector」、シェフィールドのクルーシブル・シアター上演作品で、アラン・ストラング役を演じた「エクウス」とロミオ役を演じた「ロミオとジュリエット」、リバプール・プレイハウス上演作品で、ナース役を演じた「Having a Ball」、そして、コクラン・シアター／ラウンドハウス／ショウ・シアター／カレッジエイト・シアターを含めたロンドンの大劇場や小劇場で上演されるさまざまな舞台劇に出演している。回顧録「Film Stars Don’t Die in Liverpool」は1986年、イギリスのチャットー＆ウィンダスからハードカバーで出版され、1988年にペンギンブックスよりペーパーバックで出版された。アメリカでは、グローブ・プレスから出版され、スウェーデン語とフランス語に翻訳された。
2005年、レッド／チャンネル4のTV映画「Legless」の脚本を書き、監督も担当。2007年『コントロール』は英インディペンデント映画賞の最優秀脚本賞にノミネートされ、最優秀作品賞を受賞。さらに、2008年、英アカデミー（BAFTA）賞の最も有望な新人に与えられるカール・フォアマン賞も受賞。また、シカゴ国際映画祭において最優秀脚本に与えられるシルバー・ヒューゴ賞など数多くの賞を受賞した。2作目は『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』（09）で、この作品は2009年のロンドン映画祭のクロージング作品に選ばれ、2009年にブリティッシュ・インターナショナル・フレイト・アソシエーション（BIFA）の最優秀脚本賞や、2010年のBAFTA賞最優秀英国映画賞など、多くの賞にノミネートされた。
1954年、イギリス生まれ。リヴァプールで育つ。本名はデクラン・パトリック・マクマナス。父親はジャズミュージシャンでトランペット奏者。芸名の由来は、エルヴィス・プレスリーと母の旧姓コステロから。77年にインディーズレーベルからデビュー。その後、デビューアルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー』が大ヒット。89年、ポール・マッカートニーと共作した「ヴェロニカ」がヒット。99年にはジュリア・ロバーツ主演映画『ノッティングヒルの恋人』の主題歌となった「She」が大ヒット。2002年、アルバム『ホエン・アイ・ワズ・クルーエル』をリリース。日本盤にはテレビ･ドラマの主題歌として起用されていた「スマイル」がボーナス･トラックとして収録された。日本には1978年に初来日、その後はFUJI ROOK FESTIVALなどのフェスも含め何度も来日している。